半熟cherry

ホールに出ると。

痛いぐらいの視線を感じる。





やっぱ似合わないんじゃん。

みんな見てるし。

…もう10代じゃないんだから無理なんだよ〜ッ。





恥ずかしくて。

逃げたくなった。

その時。





「ボーッとしないで接客!!」

『…はいッ!!』





…西村サンに怒られました…。





ホールにいるのは。

うさんくさい執事の涼真。

金髪のフランス人形風メイドの西村サン。





……と。

誰だ?あれ?

サラサラ茶髪で長身の……。





…え?郁ッ…?!





チラッと横顔しか見てないケド。

アレは郁だ!!





ひゃ〜。

郁が笑ってる。

黒い笑顔…じゃない。

でもカンペキな作り笑い。





……郁が、接客……。





笑いたいケド、それどころじゃなかった。





「こっちコーヒーください」

「3番ホットサンドとオレンジあがりました〜」





ホールからキッチンから声が飛び交っていて。

涼真の言うとおり。

かなり忙しかった。


 

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