半熟cherry
『……え……?』
今“茜”って、言ったよね…。
私のコトを名前で呼ぶのって…。
慌てて顔を上げると。
そこには。
『…郁ッ?!』
まだ着替えてない。
執事の格好のままの郁が。
こっちに向かって歩いてきていた。
「…島崎なんかに触られそうになってんなよ」
ハァ、と呆れたように小さくため息を吐くと。
そのまま真っ直ぐに歩いてきて。
郁は私の目の前で止まった。
「…そんな格好して…誘ってんの…?」
そう言って。
私の背中にある窓に手をつくと。
唇の右端を持ち上げて微笑んだ。