半熟cherry
窓に手をついた郁と。
郁が手をついている窓に挟まれた私。
口元は笑ってるけど。
瞳は笑ってない。
押さえつけられてるワケじゃないのに。
郁の視線が絡み付いて動けない。
『…ッ!!』
郁が開いているほうの手で耳に触れた。
耳たぶに触れ。
そのままゆっくり。
指が形をなぞるように下に下りてくる。
首筋に触れる。
『…んッ』
思わず顔を背けた。
その指は。
首筋から鎖骨をなぞりはじめる。
……イヤなハズなのに。
逃げたいハズなのに。
滑るように動く郁の指先に。
カラダが熱くなってくる。
「……煽るな、バカ…」
小さくそうつぶやいた郁は。
鎖骨に触れていた手も窓について。
首元に顔を近付けた。