半熟cherry
「……はぁ……」
郁がいなくなった教室。
なんだか取り残された気分になった。
と、同時にホッとした自分もいて。
そのままズルズルと床にへたりこんだ。
…まだ、カラダが熱い。
郁が触れていた太ももが熱い。
吐息がかかった首元がゾクゾクする。
まだカラダに。
郁の感覚が残ってる。
そういえば。
“見えるから”って…。
立ち上がって窓ガラスに映る自分の姿を見てみる。
『……ッ!!!』
鎖骨に小さな赤いアト。
これって…。
私だって子供じゃない。
コレぐらいわかってる。
『……やられた……』
私の鎖骨には。
郁の唇が咲かせた。
小さな赤い花が咲いていた。