半熟cherry
chapter:06
文化祭も終わって。
校内はまたいつもと変わらない毎日が始まった。
…が、しかし。
私だけはいつもと違っていた。
『…はぁぁ…』
机の上にはノートと教科書。
参考書が広がってる。
…広がってるだけで。
私の仕事は進んでない。
文化祭の日。
郁が咲かせた赤い花はもう消えた。
でも。
授業で、廊下で。
郁を見るたびに思い出す。
郁に触れられた首筋、鎖骨、太もも。
郁が耳元で囁いた声。
…思い出すだけで。
カラダが、熱くなる…。
も〜!!私、どうしたんだ?!
…ホント、おかしい…。
「ため息吐いてるだけなら職員室か教官室行ってくださ〜い」
氷の入った涼しげなグラスをコトン、と置きながら一美が言った。
「邪魔されずにやりたいっていうからココ、貸してるのに。
さっきからため息吐いてばっかりだし。
これじゃいつもと一緒じゃない」
一美がブツブツ言った。