半熟cherry
…あの真っ黒い笑顔が。
………怖い………。
「…なんだぁ、アイツ…」
椅子に座ったままの涼真は。
ボソッと呟くと。
「んじゃ、俺もやるかな」と。
首をコキコキ鳴らしながら言った。
「桜井クンも?!」
「…一美センセー、それって俺に失礼じゃね?」
『郁もだけど、やらなくてもできるって。
さっき言ってなかった?』
「できるよ?それなりにはな。…でも…」
涼真が言葉を区切って。
ひとつ、ため息を吐いた。
「郁がやるんだ。
やらなきゃ俺との差が広がっちまうだろ?」
……どうやら。
テストを作るために保健室から追い出そうとしてやったコトが。
郁と涼真の負けず嫌いに火を点けてしまったようだ。
「あんま難しいテスト作るなよな」
そう言って。
涼真も保健室から出ていった。