ヒマリュウⅠ 〜03.18-SS【幸せいっぱい】追加〜
そんな気持ちとは裏腹に。
掴まれたその手のせいであたしの心臓は、落ち着く気配なんか見せないで…。
聞こえちゃうんじゃないか、ってぐらい暴れていた。
「桃」
こんな何気ない一言でも、心臓は大きく跳ねる。
…重症だ、あたし。
「さっきはごめん。…本当は言いたいことあったんだけど…」
いいか?
背中越しに聞こえてくる、屋上とは違う彼の声。
…遠慮がちに紡がれた言葉。
それに負けて、振り向いた。