幼なじみ攻略法-愛しの先輩様へ、罰ゲームに便乗して-
便乗しちゃったんです。
コールの回数を重ねる度に
彼の緊張も重なっていった。
一分もまだ経っていないと
頭では分かっているのに、
心は何時間も待っている
気分になっていた。
もう緊張は限界に来て
彼の心が折れそうになった頃、
無機質な音が急に
聞こえなくなった。
かと思うとすぐに
「もしもし。」
女の子特有の少しつんとして
高い声が遠慮がちに
聞こえた。
彼は
状況を呑み込めず
ただぼぉっと声に
聞きほれていた。
ということも
やっぱり無く
すぐさまに
内心とは裏腹な
余裕ぶっこいた甘い声で
「那都です。」
と発した。