生まれかわっても、君と。
「っ…うっ……っく……!」


全てを流すような大雨が降る夜更けの路地裏で、一人の少年がうずくまっている。少女は思わず声を掛けてしまった。


「…雨、降っているわよ」


普段なら他人を全く気にしない彼女が、何故だかこの時この少年に興味を持ったのだ。


「貴方…どうかしたの」


重ねて少女が問い掛けた。
びくん、と少年の肩が震える。


「お…俺は、最悪な…奴なんだ」


傘を持たない少年は、雨に打たれて俯いたまま小さく呟いた。
少女は首を傾げる。何を言いたいのかさっぱり分からなかった。


「こんな夜中にこんな場所で長居していると、風邪を引くわ」
「……君は」
「…私?」
「うん。君だって…俺と変わらないじゃないか」


少年は、意外にもはっきりと反応を返した。
暗く光る深緑の双眼。それはひどく虚ろなものだった。

少女は一瞬思わず、少年の瞳に身を強張らせた。
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