恋愛小説
苗字が変わっても、出席番号が変わったくらいで、
私の学校での生活に変化は特になかった。


もともと私は、聡子以外とは話さないし、聡子は私の苗字について
聞かれたら、急に黙ってしまうので、聡子に嫌われたくないからか
殆どの生徒は私の苗字について、触れようともしなかった。


たまに「可哀想」だのと話しかけてくる女の子がいたけれど
「私は聡子と一緒に住んでいるから、何も困らないのに、
なぜ可哀想がるのか、私には分からないし、私のことを
可哀想がっているあなたのほうが、可哀想だと思う」と言うと
大抵は黙って泣いたり、私の悪口を言って帰っていった。


私の世界には、聡子以外は必要ない。
聡子以外は私を傷付けることしかしない悪だと思っていた。
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