恋愛小説
悟お兄ちゃんは、ため息をついて、意外な事を言い始めた。
「義美は、沙恵ちゃんのこと、本気で好きだって。分かってやって?」


「ぇえええ~?!あの態度で、どの辺りで、そう思うの?」
思わず、悟お兄ちゃんに言い返してしまう。

「やっぱり、ふざけてるようにしか見えてないのか…。」
さらにガッカリした顔になる悟お兄ちゃんに、私も戸惑ってしまった。


「とりあえず、ピアスは返したから。あと、とりあえず義美のこと
嫌わないでやって貰えたら、お兄ちゃんは嬉しいんだけどね」
私の持つピアスを受け取らずに、悟お兄ちゃんは公園を出ようとする。


「お兄ちゃんっ!あのっ!このピアスは?」叫んだ私に
「それ、アイツの初給料で買ったピアスなんだよ。
プラチナだから、かなり高いし、もし気に入らないなら
売ればいいと思うよ。義美は持っていて欲しいんだって。」
とお兄ちゃんがよく通る声で、答えてくれた。


「そんなに大切な物なら、余計に返したいよ!」走ってお兄ちゃんを
追いかけたら、お兄ちゃんは、苦い顔をして私を押し返した。
「それ以上、義美をいじめんでやってくれ。要らんなら捨てろ。」


「…よく分からない。だいたい、義美君が私を好きって
お酒でヘベレケになって言ってるだけだと思ってたし、私だって
今日初めて知ったのに、イキナリ高い物を渡されても困る!」
半分、怒りながらお兄ちゃんに叫んだら、悟お兄ちゃんは
ズボンのポケットから携帯を取り出して、私に言った。


「じゃあ、直接聞いてみるか?義美は今、俺の帰りをドキドキしながら
待ってるから、呼び出せばすぐに来るよ。アイツは沙恵ちゃんを好きだよ。」
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