アリス in wonderland


「じゃ、あたしはちょっとこれから制服縫い直すから。リビングでつかさと一緒に待っててくれるかな?10分ぐらいで済むと思うんだけど。また呼びに行くね。」

制服をいったん脱いで、またつかさ兄のジャージを着たあたしに、リエ先輩はそう言って微笑むと、眼鏡をかけてミシンの前に座った。

あたしは一人彼女の部屋を出て、階段を降り、リビングの扉をあける。

慣れた感じで、ソファーに座り、テレビを見てるつかさ兄がいた。

「おーー、制服どーだった?大丈夫そう?」

あたしの姿を見て、ソファーから顔だけこちらに向けて、そう尋ねるつかさ兄。

「うん。ありがとう。今リエ先輩がスカートの裾とか、ちょっとつめてくれてる。」

そう答えながら、あたしはつかさ兄の隣のソファに少し遠慮がちに座る。

「そっか。センパイに任せとけば大丈夫だから。あの人、今服飾系の大学行ってんの。」

そう言って笑うつかさ兄に。

胸が少し痛む。



どうして、ずっと連絡とってなかったのに、彼女の進路知ってるの?



彼女が今、何をしてるか知ってる事は。

つかさ兄が、今でも彼女を気にかけてるって事な気がして。

なんだかモヤモヤする心。


あたし、ほんとに、変だ…

最悪。



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