アリス in wonderland

「そうねぇ。きっと、アメリカの家にはピアノがあって、家でも弾けてたけど。日本の家にはピアノないじゃない?練習出来る場所が学校ぐらいだったから。友達が出来て、自然と弾かなくなったんじゃないかしら。」

そう考えるように言うママが、朝食のパンと卵焼きを目の前に出してくれる。

「ふーん。」

そう答えたけど、何かが引っかかってしまう。

今朝見た夢のせいだ。

夢なのか、失った記憶の断片なのか、あたしには分からない。

やけにリアルだったけど、ずっと記憶のない期間の事を想像して、

あたしが勝手に作り上げた記憶かもしれない。


夢の中のあたしは、

本当に楽しそうにピアノを弾いて、歌ってた。


あんなに好きなモノを、そんな簡単に辞められちゃうんだろうか。


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