アリス in wonderland
★ワンダーランドへようこそ★
その後のコトはあまり覚えていない。
気がついたら観客が拍手していて、曲は終わっていた。
人前でこんな風に歌ったのは初めてだったが、とても気持ち良かった。
「やっぱ最高にイイ声してる♪良かったよ、アリスちゃん☆」
宇佐美クンが隣で少し色素の薄い瞳を細めて笑う。
「宇佐美の耳はやっぱ間違いないな。」
メンバーの一人がそう言って、周りのメンバーも頷く。
観客からも「アリスっ!」なんて歓声があがる。
あたしは恥ずかしくて手で顔を覆う。
「では、改めて。このバンド、Alice in Wonderlandのボーカルになってくれない?」
宇佐美クンがそう言って、プロポーズするみたいに片膝を床について手を差し出すから。
あたしはドキドキしながらも、その手を握ってしまった。
観客から拍手が湧き上がる。
「ってコトで、今日から新しいボーカルのアリスちゃんでぇ~す☆よろしく!」
宇佐美クンがあたしの手をとったまま、マイクを通して観客にそう言った。