アリス in wonderland


「茶会って、こないだみたいな“ティーパーティー”とか言われてるやつ?」

あたしの質問に、三人が同時に振り向く。

「そう☆まぁ今のトコ、このバンドの活躍場はアソコだけだから。ゆる~い感じで活動してんの♪」

勇太クンがそう言うと、他の二人もうなずく。

「オレら今年受験生だしさ。バンドで大学落ちたとかシャレになんないから。本格活動すんのは受験乗り切った後かな。だからアリスちゃんはそんな気おわなくていいから☆趣味感覚で楽しく歌ってよ♪」

翔クンがそう言って、あたしの背中を軽くたたく。

「あ、だったら一年後には前のボーカルも戻ってくるの?あたしはつなぎ?」

だったら気が軽いかな、なんて。

少し寂しい気持ちを隠しながら言ったら。

「んなわけないじゃんっ!言ったろ?オレは結衣ちゃんの声に惚れたって。ボーカルは結衣ちゃんじゃなきゃダメなんだよ。」

亮クンに真剣にそんなコト言われると、またあたしの心臓がバクバクいうから。

もう止めてほしい。

「前のボーカルが戻るコトはないよ。彼には別の道があるから。」

翔クンがそう付け加えた。


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