アリス in wonderland
何だか分からないけど、前のボーカルが戻ってくるコトはないみたい。
「じゃ、そろそろ行くか。授業始まんじゃね?」
翔クンがそう言って、亮クンも腕時計を見る。
「二人先行ってて?オレ、ちょっとアリスちゃんと話あっから☆」
勇太クンがそう言うから、亮クンが不思議そうな顔をする。
「話って?」
「まぁ、バンドで歌うのとか初めてだと思うから。そーゆー話☆告ったりしねーから安心しろ(笑)」
勇太クンの言葉に、またあたしの顔が熱くなる。
もう、この人達は悪い冗談やめてほしい。
「あーはいはい。まぁそーゆー繊細な話は勇太の得意分野だもんな、で、おいしーとこもってくわけだ。」
亮クンが子供みたいにスネた口調で言うから。
また可愛くて抱きしめたい衝動にかられる。
あたし変だ。
「まーそーゆーコト。翔、コイツ早く連れてって。」
そう勇太クンが言って、翔クンと亮クンは二人で屋上へ続く階段を下りて行った。