アリス in wonderland
「♪♪…すがわ。」
「有栖川っ!」
っ!?
「またお前は…今度は授業中に音楽聞いてるって。マジでオレの授業そんな暇か?つまらんか?」
慌てて机の中に隠してたCDプレーヤーの電源をオフにしてみたけど、バレてしまった様子の健ちゃんの態度に、あたしはイヤフォンも外す。
「そんなコトないです。ただ解き方分かっちゃうから、ちょっと気がそれちゃっただけで☆ね?」
健ちゃんににっこり微笑んでみせると、健ちゃんは呆れたようにため息をつく。
「ったく。次やったら没収だぞー。そして有栖川だけ今から練習問題、次のページの応用編解いて。」
健ちゃんにそう言われて、あたしは教科書に目を落として問題を解くフリをした。
頭の中はさっき聞いた彼の曲でいっぱいで、他のコトを考えてる余裕なんてない。
英語の歌詞が何の抵抗もなく耳に入ってくるのは
あたしが小学校上がるまで海外で過ごしてたからで。
彼の歌詞は心に響いた。
勇太クンが屋上で言ってたコトを思い出す。
一見、恋愛の歌詞を歌ってるように聴こえるけど。
この歌詞は、きっと彼の両親に対する気持ち…