アリス in wonderland
そう言ったとたん、あたしのお腹が勢いよく鳴るから。
恥ずかしくて思わずお腹を押さえる。
なんてタイミング…
「ははっ!遠慮なんてしないでよ、ここで演奏してもらってるからバンドメンバーはタダで飯食えるっていう特典付きなの♪オムライスは好き?」
彼にそう聞かれて、あたしは無言でうなずく。
「じゃ、ちょっと待ってて☆」
そう言って彼は奥の厨房へと消えていった。
そういえば、名前まだ聞いてなかったな…
お客さんもそんないないからか、どうやらここで働いてるのはキッチンにいる人数人と彼だけみたいだ。
それともあたしが来たことない曜日とかは違う人が働いてたりするのかな。
そんなコトを考えてる間に、彼が皿を手に持って厨房から現れる。
「はいっ、お待たせ☆うち特製のデミグラスソースのオムライス。美味いから。」
「美味しそうっ!ありがとうございますっ!あの、名前。まだ聞いてなかったから、今さらなんだけど。」
「僕?僕は篠宮恭一。大学通いながら夕方はほぼ毎日ここでバイトしてるから、ただ今彼女募集中(笑)」
篠宮さんが笑ってそんな冗談言うから。
つられてあたしも笑う。