アリス in wonderland
「テッペイ君の気持ち。もうずっと前から気づいてたから。知ってて、誘ったの。あたしほんと最低。」
そう言って、美咲が少し悲しそうに笑うから。
あたしは思わず美咲を抱きしめた。
「…美咲は、最低なんかじゃないよ。最低なのは、あたしだよ。」
「ねぇ。あたしね、ホントのこと言うとさ、”アリスを一途に思ってる” テッペイ君に惚れたんだと思うんだ。」
「え?」
不意に、美咲がそんなことを言うから、あたしは首を傾げる。
「あたしの初恋の人さー。かなりの遊び人で。中学の時なんだけど、彼はセンパイでさ。他に女がいてもいいって、それでも一緒にいたいって思ってた。だから、遊ばれてるって分かってたけど、彼に全部捧げたの。バカだったなぁって今なら思うだけどさ。だからかな、ずーーっとアリス一筋なテッペイ君見てたらさぁ、”あぁいいなぁ。こんな人と一緒になれたら、幸せなんだろうなぁ”って思ったの。それが最初。」
そう言って、少し照れくさそうに笑う美咲。
あたしは、何て言っていいのか分からなかった。