アリス in wonderland
ゆっくりと目を開けると、
ハサミを持った彼女の、青ざめる顔が目に映った。
それと同時に、羽交い締めにしていた腕がゆるめられる。
他の二人も、その声のした方を見て、青ざめていた。
「…つかさ兄。」
そう、そこには、すごい剣幕で睨む、つかさ兄が立っていた。
つかさ兄はあたしを抱き寄せると、自分の着ていた制服の上着を、あたしに着せる。
そして、彼女たちに殴りかかりそうな勢いで言った。
「てめぇら、おもしろそーな遊びしてんじゃねぇか。え??オレもまぜろよな。コイツにした事と、同じ目に合わせてやるよ。」
そう言って、まずハサミを持った彼女に詰め寄るつかさ兄。
あたしはとっさに、止めに入る。
「つかさ兄っ!!ダメっ!!!」
後ろから、つかさ兄に抱きつくように止めるあたしに、つかさ兄がため息をつく。
「…今日のとこは、コイツの為に我慢してやるけど。今度コイツに何かしたら、どーなるか分かってんだろうな。オレは、女だからって容赦しねぇ。マジで許さねえから。」
つかさ兄が睨みをきかせてそう言うと、お姉様方は逃げるようにこの場から去っていった。
あたしは、急に力が抜けて、へなへなとその場にしゃがみこむ。
「…怖かった。」