アリス in wonderland
彼女達はもう去っていったのに、なぜだか今頃になって体がガタガタ震えだす。
涙さえこみ上げてくるから、不思議だ。
そんなあたしを、つかさ兄は辛そうに見つめて、優しく抱きしめる。
小さな子供をあやすみたいに、背中をさする大きな手。
昔から、変わらない…
いつもあたしがピンチの時には駆けつける
スーパーヒーローみたいな
大好きなお兄ちゃん。
それがつかさ兄なんだ。
「…どうして、ここに?」
やっとの思いで、震える唇で声を絞りだす。
「ん?テッペイがさ、なんかお前が上級生に呼び出しくらったーって、学年中が騒いでるってゆーからさ。まさかと思って、人気のねーとこ探したの。オレの勘的中?ってか、アイツらが単純すぎだけど。」
そう言いながら、抱きしめる腕に力がこもる。
あったかい…
つかさ兄の、ほのかに香る香水のにおいが、昔からあたしの心を落ち着ける。