アリス in wonderland
どのくらい、こうしていたんだろうか。
しばらく、つかさ兄の胸にうめられ、抱きしめられていた。
次第に落ち着きを取り戻す。
「…あの、さ。ありがと、もうそろそろ大丈夫だから。またこんなトコ誰かに見られたらへんな噂たちそうだし。あの、その。」
腕を離してくれないかな?って感じで、あたしはつかさ兄を見上げる。
そんなあたしを、つかさ兄はずっと見つめる。
うぅ…
そんな真剣な瞳で、見つめられるとなんか照れるっていうか。
キレイすぎるその整った顔が、近くて、なんか急に意識してしまう。
「オレは別にいいよ、噂なんてどーでもいいし。噂のせいで何か変な事してくるヤツいたら、オレが許さねーし。お前の事は、ちゃんと守る。」
そうまっすぐに見つめながら言う彼は。
なんだか、いつものお兄ちゃんっていう感じじゃなくて。
変に意識しちゃうよ。
どうしよう、ドキドキする…つかさ兄なのにっ!!!
「でも、そろそろ予鈴なるしな。このままってわけにもいかねーか。ちょっと待ってろ。」
そーいうと、彼はおもむろに携帯をポケットから取り出し、誰かにメールをうつ。
「その格好じゃ、さすがにどこにもいけねーだろ。今からオレのダチに、オレのジャージもってきてもらうから。しばらくそれ着て、我慢しててな。」
不思議そうに見つめるあたしの視線に気づいて、つかさ兄が安心させるような笑顔でそう言った。
ほんとにこの人は、どこまでも完璧だ。