アリス in wonderland
それから、そのつかさ兄の友達がやってくるまでは数分もかからなかった。
無言で待つあたし達。
遠くから走ってやってくる男の人の影に、あたしは少しビクリと体が揺れる。
つかさ兄の制服の上着を着せてもらったとはいえ、あたしのスカートはビリビリに破られてるんだ。
こんな姿、出来るなら誰にも見せたくはない。
そんなあたしに気づいてか、つかさ兄がさっとあたしの前に立つ。
「すまねーな。ありがとよ。」
そう言って、ジャージを彼から受け取るつかさ兄。
あたしは下を向きながら、ぺこりと頭を軽く下げる。
つかさ兄が壁になってて、その男の人の顔はよく見えない。
「いや、全然いいんだけど。アリスちゃん、大丈夫?」
聞いた事のある声と、あたしの名前を呼ぶその声に。
あたしは思わず顔をあげた。