この想いは・・・。
「女のくせして調子乗ってんじゃねーぞ」
不良の1人が暁先輩の胸倉を掴もうとした調度に信号が青になり、
自転車に乗っていた俺はその不良に自転車ごと突っ込んだ。
一瞬でその場の視線が俺に向けられた。
俺は暁先輩とおばあちゃんの前に立って2人を庇う体制に立つ。
「なにすんだよっ」
突っ込まれた不良が立ち上がり俺を殴ろうと突っ込んできたが反対に俺が不良を殴る。
「俺、中学までプロレスしてたんだ。まだやる?」
「・・・チッ、おい帰ろーぜ」
不良たちはプロレス経験者が怖かったのか帰って行った。
まぁ本当はプロレスなんてしたことねーし、殴った奴が弱すぎて嘘を言えただけ。
後ろを振り返ると暁先輩がおばあちゃんを抱きしめて守っていた。
「先輩、もう大丈夫ですよ」
俺が暁先輩に言うと、先輩は安心したのか力が抜けたのか、その場に倒れた。
「先輩っ」
「大丈夫、大丈夫。あんなこと言ったけどやっぱり怖くて、それで今安心して力が抜けた」
先輩はそう言って隣にいたおばあちゃんに「大丈夫ですか?」と笑って言った。