この想いは・・・。

「卒業した日に諦めたの・・・そして上京して・・谷口くんに恋をしたの」


暁先輩は手首にあるピンクの時計を見つめて言った。


谷口くん・・・先輩が失恋した相手。



そして、あの時計はたぶん・・・いや、きっと谷口さんから貰った物だ。



先輩は大切な物を扱うように時計に触れた。


先輩・・・。


俺じゃダメなんですか?



「剛志くん・・・」


「はい」


「あたしにとって谷口くんは、きっと一生好きな人」


やっぱり、先輩にとって谷口さんはとても大切な人なんだ。



「・・・でもね、あたし新しい恋がしたい」


「え?」


「谷口くんじゃない、大好きな人に出会いたいの」


「じゃあ・・・」


「剛志くん、あたしと恋をしませんか?」


涙が出そうになった。



いつも憧れていた暁先輩。


いつも見ていた暁先輩。


いつもあの笑顔が自分のモノになればいいのにと思っていた。


いつも、いつも



想い続けていた先輩。



その先輩が俺に・・・?



「ダメかな?」


先輩が可愛らしく聞いてきた。



答えなんて1つしかない。



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