この想いは・・・。
「もしもし、お母さん?」
『愛子?いきなりどうしたの?』
「お母さん・・・あの件、あたし受けるよ」
何度言われても断っていた。
『え・・・?あの件って・・』
「うん・・・お見合い受けるよ」
『・・・愛子、それで本当にいいの?』
いつも嫌味ったらしく"お見合いしろ"って言ってたのに、
いざお見合いするって言ったら真剣な声を出してお母さんは渋る。
「・・・うん」
『まぁ、お見合いするからってその人と結婚する訳じゃないんだし、軽い気持ちで受けてみようか』
「・・・うん」
『じゃあ相手に電話にしてみるわね』
「うん・・・お母さん」
『ん?』
「お婆ちゃん元気?」
『・・・最近容態が悪いわね』
お婆ちゃんももう歳だ。
あたしを誰よりも可愛がってくれたお婆ちゃん。
・・・お婆ちゃん。
「分かった。またお見合いの時に家に戻るから」
『はいはい。じゃあまたね』
「また」
プッ
「ハァ・・・」
電話を切ると、自然にコルクボードに目を向けた。