この想いは・・・。
「・・・覚えてたんだ」
なぁ、信。違うよな?
「そりゃあ、いきなりあんなこと言われたらね・・・」
ハルは苦笑いで言った。
「信、お前なにしたんだよ・・・」
この2人になにがあったんだよ?
「まぁ・・・ちょっとな」
信、お前・・・。
「そういえば、紹介してなかったな。こいつ、いとこの空晴子」
「空晴子です。よろしくお願いします」
「谷口信です」
お前ハルを好きじゃねーよな?
なんで、ハルを見る目がそんなに優しいんだよ。
「因みにハルは21歳。まだ大学生」
「・・・そうなんだ」
信・・・違うよな?
「えっと・・・信さんは宏太とタメなんですか?」
ハルは気を利かして信に話掛けた。
「敬語じゃなくていいから。俺も宏太と一緒の24歳だよ」
「そうなんで・・・そうなんだ」
ハルは照れたように笑う。
信がそれを見て笑う。
何故か俺はここに自分がいない様な感覚を感じた。
3人で話しているのに俺はハルと信だけが話している様に見えた。
終電の時間になった。
「そろそろ帰るか」
切り出したのは俺からだった。
1番に外に出て、携帯をだして愛子にメールをした。
「ごめん。俺、彼女ん家行くから、ハルを頼むな」
2人の姿をもう見たくなくて、また俺は逃げたんだ。
俺は早々と駅とは反対側の道を歩いて行った。