この想いは・・・。
「じゃ、お先」
そう言って信が帰って行ったのは3時すぎ。
野郎・・・早く帰るために朝早くから来て仕事してたんだな。
早く帰るため・・・それは、ハルの大学でハルを待ち伏せするためだ。
「谷口くん、今日早いのね」
同期の坂野が信が帰っていく姿を見ながら言った。
「朝が早かったからな。俺も帰りてーよ」
そしたら、あいつの所へ信より早く行って奪ってやるのに。
「・・・空くんはまだ仕事あるでしょ。さぁ、頑張ろう」
坂野は笑顔で自分の机に向かった。
「ハァ・・・やるか」
俺は頭の中ではハルのことを思いながら、目の前にあるパソコンと戦った。