この想いは・・・。


「ねぇ、宏太」


「なんだよ、ハル。ハンデなんてあげねーからな」


女でも容赦しねーからな。


「あたしね・・・彼氏ができたの」



幸せそうにハルは笑った。



ガタッ


「・・・え」




それは本当にいきなりだった。



俺の実家でゲームをしていた時だった。



「あっ、勝った!初めて宏太に勝った---!」


ハルの発言に驚いてコントローラーを落としてしまって、初めて格闘ゲームでハルに負けてしまった。



「お、お前今のは卑怯だろっ」


「宏太がコントローラー落としたのが悪い」


負けたのは悔しい。


でもそれより・・・



「・・・彼氏?」


「うん。彼氏」


ハルはまたゲームをするのか、俺じゃなくてテレビに視線を向けてキャラを選んでいる。


「誰だよ・・・」


圭か?

でも前は圭とは付き合いたいとは思わないって言ってた。


じゃあ誰だ?



「谷口くんだよ・・・あ、信・・だよ」


ハルは信を『谷口さん』から『信』と言い換えながら顔を赤くして言った。






その表情にも辛かったが、ハルの彼氏が信と聞いて、体が固まった。


< 32 / 195 >

この作品をシェア

pagetop