この想いは・・・。

「俺は・・・できるかな」


「・・・愛子ちゃんのこと好きじゃないの?」


愛子ちゃんというのは、その時の彼女だ。


ハルも会ったことがある。


「・・・まぁな」


「なんで好きな人でもない人と付き合えられるの?」


「・・・」


答えは決まってる。


でも言えない。


ハルがこんなことを聞いてくるということは、ハルの彼氏の圭は俺と一緒なんだ。


きっとハルの彼氏と俺は同じ想いなんだ。

だからこそハルには言えなかった。


「宏太教えてよ」



ハルの頭を撫でる。


「・・・泣くなよ」


目の前にいるハルは涙を流して俺をみつめていた。


「泣いてない」


ハルは変な所で強がりだ。


「俺は・・・好きな人と結ばれないから他の奴と付き合う」


「結ばれない・・・」


「相手には好きな奴がいるから、結ばれないから、他の奴で気持ちを埋めようとするんだよ」


でも気持ちなんて埋まらない。


好きでもない奴が側にいても、満足することはない。


「圭も・・・そうなのかな」


ハルは寂しそうに笑った。


「そんなの分かんねーだろ」


言葉ではそう言ってるけど、たぶん圭は他に好きな奴がいると思う。


そんな圭が腹立って仕方ない。


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