この想いは・・・。
「先輩・・・?」
近づいて行くと先輩は誰かと言い争いをしていた。
「いいじゃん、飲むぐらい」
「嫌です」
「部長・・・?」
暁先輩が言い争いをしていたのは俺の部の部長だった。
部長は独身で28で暁と同い年だ。
別に部長が恋を頑張るのにいけないことはない。
ー―――でも、無理矢理はいけないんじゃねーの?
「部長」
「あっ、よぉ武田。帰りか?」
「俺の彼女離してくれませんか?」
「「え?」」
暁先輩と部長の声がハモった。
「暁は俺のモノ。部長でも許しませんよ?
暁、行くぞ」
俺は暁先輩の手を掴んで部長から見えなくなるまで早足で行った。
「ジュウくん?」
「あっ、暁先輩・・・嘘言ってすいません・・・彼氏に失礼でしたね」
先輩の口から"彼氏"と聞いた瞬間、ショックで暁先輩の元に行くのに一瞬戸惑った。
暁先輩の手を離した。
「あれは嘘だよ。彼氏なんて、ここずっといないよ。それにありがとう。助けてくれて」
「・・・いえ」
体の力が抜けていくのが自分でも分かった。
良かった・・・彼氏いないのか。