この想いは・・・。

「あの時はどうしてもあそこから逃げたかった。・・・だから、あたしはここにいるのかな・・・」


困った様な顔をした先輩がとても弱い人に見えた。



「それは違います」


「え?」


「先輩は"逃げた"んじゃなくて"運命"でここに来たんです」


「運命・・・?」


「俺に会うためにここに戻ってきたんです」



きっと今なら俳優になれるんじゃないかと思えるぐらい、


きっと今は顔が赤くなりすぎて死ぬんじゃないかと思えるぐらい、



俺はクサイことを言った。


「なにそれ・・・」


「先輩がその人を好きになったのも、俺と会うためなんです」


でも、恥ずかしくても先輩の想いが軽くなるなら、何度だって言ってやる。



「だから、"逃げた"んじゃないです!」


「・・・ジュウくん」



だから先輩、悲しく笑うんじゃなくて、


素直に笑ってくれよ・・・――――――――



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