この想いは・・・。
「俺がチャリで帰っていた時でした。夜で真っ暗の中、信号で止まってたんです。
待っていると、反対の横断歩道におばあちゃんがいたんです。
そのおばあちゃんは、不良に絡まれてたんです」
「・・・あ」
暁先輩は思い出したのか、顔を赤くして俺を見てきた。
「思い出しました?」
「うん・・・あの時の人はジュウくんだったんだね」
「はい」
あの時・・・おばあちゃんが不良に絡まれていた時だった。
暁先輩が彼氏と目の前を通った。
暁先輩の彼氏は見て見ぬふり。
俺はあのカップル最悪だなと思っていた。
けど最悪なのは彼氏だけだった。
「ちょっと!なにしてのっ」暁先輩は大声で不良に言った。
「お前誰だよ?関係ねーだろ」不良は暁先輩を睨んで言った。
暁先輩の彼氏は暁先輩の行動を驚きながらも、不良が怖くて暁先輩を置いて逃げて行った。
「関係ないけど、おばあちゃんが傷つけられてんのに、あんな馬鹿のような見て見ぬふりできるか」
暁先輩の声は大きすぎて反対側にいる俺にも聞こえた。