俺様先生と秘密の授業【完全版】
 直斗の言葉に。

 驚いたのは、あたしだけじゃなかったみたいだった。

 兄貴が、直斗を睨んだ。

「泊まるって、この、愛莉の部屋に!?」

「別に、愛莉のベッドの中に泊めろ、とは言わない」

「当たり前だ!」

 怒鳴る兄貴に、直斗は手をひらひらと振った。

「発熱で、パニクってるお前と。
 めっずらしく病人している愛莉を、そのまま放って帰れるか、莫迦」

 無駄に広っい部屋には、他にソファーセットもあるし。

 今晩一晩、ここで待機して、熱が上がったら薬や水なんかの世話をしてやるから、と直斗は言う。

 で……でも、あたしの部屋に、一晩一緒!

 うぁ~~ きゃあ~~

 べ、別にっ!

 ムカシは、直斗が隣の兄貴の部屋に泊るのは、しょっちゅうだったしっ!

 それがちょっと、ずれただけだと思えば……って!

 ……思えない……

 聞くだけで、熱が上がって来そうな状況だけど。

 あたしには、彼氏が出来たんだもん。

 直斗なんて、関係ないもん……ね?

 直斗だって、きっと、保健室の先生のお仕事の続きのつもりに違いない。

 それにあたしも、傷が痛んで寒かった。

 
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