俺様先生と秘密の授業【完全版】
 直斗は、心配しすぎで、おろおろしている兄貴よりも頼りになりそうなことは、確かだし。

 それに、どうせ傷が痛んで、眠れないだろうから。

 そばについてくれる人が、いるに越したこと無いし……なんて。

 いくら見慣れた直斗だとしても。

 初めて『男の人』が側にいる状況で眠る緊張感で、どきどきしている胸をごまかすのに必死だった。

『直斗は、絶対、何もしない』

 ……それは、判っているんだけど……

 本当に傷のせいだけなのか。

 確実に、1度は違うだろう体温上昇で。

 ぼうっとのぼせているあたしを見て。

 兄貴もまた、宣言した。

「直斗が泊まるなら、オレだって、ここで寝る」

「お前の部屋は、隣だろ?
 ……俺は愛莉に、やましいことはしないぜ?」

「この状況で、そんなことしてみろ。
 直斗だって、殺す」

 直斗の言葉に。

 自分の指の関節を、べっきべき鳴らして応える兄貴も、本気だ。

 ひ~~ん。

 なんだか、凄いことになっちゃったよ~~

 布団を半分かぶって様子をうかがうあたしは、とうとう直斗と、バッチリ目が合った。
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