俺様先生と秘密の授業【完全版】
……
どれだけ眠っていたのか、判らない。
でも。
『愛莉』と、名前を呼ばれたような気がして、目が覚めた。
まだ、夜で。
豆電球だけが、ほのかに明るく、いつもと変わらない自分の部屋を照らす。
……と。
いつもは、居ない男、二人も。
彼らは、半円形になっている、あたしの部屋のソファーセットに、それぞれ毛布をかぶって横になっていた。
大の男二人が、長々と寝そべっていても、だいぶ余裕があるはずのソファーに。
直斗と兄貴は、頭を寄せ合い、何か話し合っているみたいだった。
あたしが、起きたことにも気がつかないほど、真剣に。
こっちの方は、まだ頭痛がすごくて調子悪く、さらに、眠くて。
夢と現実の中間にいるような、感じだったけども。
兄貴たちの言葉が気になって、そのまま、ぐう、とは眠れなくなっていた。
だって。
「俊介は、本気で岸に愛莉をやるつもりなのか……?」
なんて、とっても気になることを言うんだもんっ!
ヒトの話をこっそり聞くことは、とても悪いことだとは、思うけど。
どーしても、気になる。
あたしは、熱のせいで荒くなりがちな呼吸を抑えて、兄貴たちの話を聞いていた。