俺様先生と秘密の授業【完全版】
「軽い男じゃなさそうだし。
 口調はともかく、喋らせれば、きちっと筋道の通った話し方をする。
 度胸もあるし、単車の腕も、ウチの吉住より上手いんじゃないか?
 いろんな噂があるらしいが、オレは、自分の目を信じてるからな。
 まず、あいつは愛莉を傷つけるような事だけは、しないだろうよ」

 本当に婿にするかは、ともかく。

 日々のメール交換や、ちょっとそこらに遊びに行くくらいのガキの付き合いまで。

『兄』のオレが制限する権利は、ない、と。

 寂しそうな声で言う兄貴に、直斗が喉の奥で唸る様に言った。

「……岸は、ガキじゃないぜ?
 一人前の『男』の目をして、愛莉を見てる。
 お前。
 ここではっきり態度を決めておかないと、愛莉まで失うコトになるぞ?
 いいのか……?」

 兄貴にささやく直斗の声は、すごく、真剣で。

 あたしも、布団の中で、すごくどきどきしていた。

 だって、直斗の言い方じゃ、まるで、兄貴が……!
 



「……俊介だって、愛莉のことを愛しているのに……」




 

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