俺様先生と秘密の授業【完全版】
 

 はっ…… ふ……


 とうとう、乱れる呼吸が、我慢できなくなった。

 上がった熱と、直斗たちの言葉で考え込んじゃって、脳みそが、煮えそうに痛む。

 思わずついた大きな吐息に、直斗が気づいて、声をあげた。

「……しまった。
 やっぱり、熱が相当上がってる!
 愛莉、大丈夫か……?」

 あたしの額を触る、直斗の手が、すごく冷たくて、キモチいい。

「やっぱり、あの時薬を飲ませておけば……!」

 なんて、心配そうにあたしを覗き込む、兄貴の顔も、見える。

「莫迦、だから、今飲ませるんだって。
 俊介、薬!
 早く、出せ!」

 誰もが震える、でっかいヤクザ組織の若頭の兄貴に、直斗がぴしぴし指示を出す。

 なんか、野獣に命令している、俺様ウサギみたいで、面白いなぁ。

 しかも、この野獣。

 半分涙目で、うんうんって、ウサギ……いやいや、直斗の話、聞いてるし。

 うふふふ。

 仲が良いなぁ。

 二人のこんな関係、ケンカとかで、壊したくないな。
 
「あ、愛莉、笑った」

「……熱に浮かされてんだよ!
 それより、俊介、早く、水!」
 

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