俺様先生と秘密の授業【完全版】
 でも。

 ……水を飲んだら、吐きそうで。

 それに、熱に疲れて、せっかく兄貴が用意してくれたお薬が、飲めなかった。

 どうしても、薬が飲めないあたしに。

 直斗のキレイな顔が、近づいた。

 ……も……もしかして、キスして、薬を喉に押し込む……なんて、しないよね?

 ファーストキスなんですけど!

 さすがに……いくらなんでも、こんな。

 どさくさ紛れ、なんて嫌なんですけど……!

 思わず、身を引いた、あたしを見て兄貴も言った。

「おい、何をしてるんだよ?
 ま……まさか。
 愛莉が薬を飲めないからって口づけるなんてことは……」

 そう、焦って言う兄貴に、直斗は、軽く睨んだ。

「背に腹は変えられねぇだろ?
 さすがに、今は、薬を飲まないとマズイ。
 愛莉が大事なら、俊介は、邪魔すんなよ?」

 ……って、直斗、近づいてくるし!!

 えっ!

 ウソ!

 本当に……マジ!?

 やだ、待って……!

 飲み込めない薬を口に含んだまま。

 あたし、手で直斗押したのに、止まらないし……!

 きゃ~~

 イヤ~~

 ウソ~~っ!

< 150 / 362 >

この作品をシェア

pagetop