俺様先生と秘密の授業【完全版】
 教室の扉を半分だけ開けた、あたしに気がついたらしい。

 伊井田さんが、飛んで来たか、と思うと。

 残りの扉をがらがらがらっと開けて、叫ぶように言った。

「カッキーおぱよ~~
 もう、この仔ってば、信じられない~~!」

 伊井田さん……朝からテンション高いなぁ。

 信じられないのは、こっちの方よね?

 学校二日も休んだのに心配もせずに、コレですか?

 ……なんてことが、バレると、後々が面倒だから。

 あたしは、ちょっと、引きつったような笑顔を伊井田さんに向けた。

「……えと……
 何のことデスか?」

「うぁ、カッキー、朝から暗っら!
 ま、いいや。
 それより、カッキー。
 あんた、わたしに隠しごと、してたでしょう?」

「……は?」

 そ……そりゃぁ。

 伊井田さんに限らず、クラスメートには、言っていない事は、山ほどあるけれど。

 伊井田さんは、何のことを言っているんだろう?

 変なことを自分から言ってバレないように、注意深く様子をうかがっていると。

 伊井田さんは、いらいらしたように、地団太を踏んだ。

「もう!
 カッキーったら!
 あんたのお兄さんのことよ!」
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