俺様先生と秘密の授業【完全版】
「……へ?」

 兄貴の……こと?

 って!

 ええええっ!

 一体、伊井田さんは、藪から棒に何を言い出すのよ……!

 マジ、何で?

 もしかしたら、兄貴……!

 手のケガのこと、岸君に詳しく聞いてたから。

 あたしが、学校を休んでいる間に、狼と一緒に来て、暴れて行ったんじゃ……!?

 ところが。

 一気に青ざめたあたしと反対に。

 伊井田さんは、ご機嫌に、笑った。

「愛莉のお兄さん、立派よね。
 一度、家庭の事情で高校中退したのに。
 ここで、もう一度、勉強をし直したいって言うなんて!」

「は?」

「しかも、前の学校で、単位は、三年生の初めの分まで取ってたはずなのに。
 時間が開いてて、自信がないからっ、て、二年生の今の時期から初めるんでしょう?
 妹と同じクラスでも構わないから勉強させてくださいって、校長に頼んだって」

「え?」

 って、この流れだと、兄貴があたしのクラスに、転入して来たってこと!?

 あたし、そんな話、全く聞いてないし!

 それにそもそも。

 兄貴は、高校中退どころか、大学まで無事に出てるんですけど?

 あれでも頭は良いので、難関一流校を。
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