俺様先生と秘密の授業【完全版】
 しかも。

 取っても役には立てないし。

 僕を雇う所はまず無いだろうけど、何事も、経験。

 とか言って、一応、教員免許は持っているみたいだから。

 あたしのことが心配な挙げ句。

 今まで築いた全てを投げ打って、無理やり学校に乗り込んで来たとしても。

『生徒』じゃ絶対入って来ないはずだ。

 その他に、あたしが『兄貴』って呼ぶ人は、誰も居ない……はず。

 加月の家は、あたししか、子供は居ないし。

 水野小路家……は謎だから良く判らないけど。

 他に、跡継ぎがなく。

 愛人の子供たちであるはずのあたしと兄貴を、家に入れたぐらいだからなぁ……

 あたしに、俊介兄貴以外に兄弟がいるとは、ちっとも思ってみなかった。

「……あの、それ、何かの間違いじゃ……?」

 どう考えても、思い当たる節のない、『兄貴』出現の話だった。

 そんなクビを傾げるあたしを、見て、伊井田さんはむむむっと睨んだ。

「でも『加月』って名字は、普通そう無いでしょう?」

 え? そっち?

 水野小路じゃなければ、余計知らないってば!

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