俺様先生と秘密の授業【完全版】
「それ、誰よ?」

 戸惑っているあたしに、伊井田さんは、たたみかけるように言った。

「誰って、だから猛(たける)さんじゃない!
 家の事情で、今まで別々だったけど、やっと一緒に暮らせるようになったんでしょう?
 年上のせいかな?
 なんか、ワイルドであんなにカッコ良い男子めったに居ないのに!
 そんなこと言ってると、わたしのものにしちゃうけど、良い?」

 ……別に知らないヒトだからなぁ。

 誰のモノでも良いけど、でも、伊井田さんは、違うでしょう?

 だって。

「伊井田さんは、早瀬倉先生と……キスしてたくせに」

 思わずつぶやいた、あたしの言葉に。

 伊井田さんは、ひらひらと手を振った。

「早瀬倉先生は、ダメ~~
 わたし、振られちゃったぁ」

「え?」

「早瀬倉先生イケメンのクセに超単純でさ。
 ちょっと騙したらすぐ目を閉じてくれたから、ちゅ~~してみたんだけど、ね?
 すぐ、保健室、追い出されちゃった~~」

 先生が良いって言えば、その先だって。

 ベッドあるし即オッケーだったのに~~なんて。

 伊井田さんは平気な顔で、オソロシイ事を言った。
 
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