俺様先生と秘密の授業【完全版】
「だから、次のターゲットは、加月さんよ!」

 やっぱり、年取るとノリ悪いし!

 年齢は、近い方が、良いわよね!

 って、ゲンコツを握る伊井田さんは、やる気満々だ。

 やれやれ。

 あたしとしては……。

 早瀬倉先生が、伊井田さんに感心が無かった、ってことが。

 ほっとしたような、残念なような複雑な気分だった。

 あたし、岸君を彼氏にしたから、もう早瀬倉先生関係ない!

 なんて思っていても。

 熱を出した夜の話を、本当だったって肌で感じて……どきどきする。

 でも。

 今の当面の問題は。

 身に覚えの無い『兄貴』の方よねっ!

 ざっと教室を見渡しても、それらしいヒトも、岸君も居ないし……

 ……なんか、怖っ!

 それでも、伊井田さんの言う『猛』さんの特徴って、聞いたことあるような気もして、変な気分だった。

 うーん、と誰だったかなぁ。

 ……なんて、考えているうちに。



 あたしの後ろから『うぃっす』なんて挨拶する声が、聞こえた。

 それは。

 あたしが良く知っていて。

 ……だけどもこの学校で聞くことなんて、今まで、一度も考えたこともない、声だった。

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