俺様先生と秘密の授業【完全版】
 それから、裏庭でこそこそと。

 吉住さんと情報交換をして。

 教室に帰ると……そこに、岸君がいた。



 ……二日前と、なぁんにも変わらない格好で。




 目を覆うほどの、長い前髪。

 猫背の感じに至っては……

 ……なんだか、もっとヒドくなっているような気もする。

「あれが、学校での岸ですか?」

 昨日、最初に学校へ来た時は、岸君が休んでいたから。

 今日、初めて教室で見るって言う吉住さんが、呆れたように囁いた。

「……うん、まあね」

 あたしも……その。

 ちょっと……がっかりかな?

 二日前に、あれだけ大騒ぎをしたんだもん。

 前と全く同じ、ではなく。

 もう少し、マシな格好をしてくるものとばかり思ってた。

 ……のに。

 震える手に、カバンを抱きしめる姿まで、健在だ。

「……ん、でまた、こんなヤツが愛莉さんと付き合おうとするんだ!」

 なんて。

 吉住さんは、口の中でつぶやくと。

 ずかずかと、足音高く岸君に近づいた。

 そして、ささやく。
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