俺様先生と秘密の授業【完全版】
秘密の課外授業
lesson 1
「……よくも、まあ思い切り、殴られたな。
今、沈黙の狼も、天竜組も両方の親組織同士、最悪な雰囲気だし。
……狼たちとつるんだことがバレて、天竜組に制裁されたのか?」
傷だらけの岸君に、湿布だの、傷薬だのを手際良く貼り付けた早瀬倉先生が、ため息をついた。
「……覚悟は、してたのよ」
と、一言づつ喋る岸君は、辛そうだった。
「完全に天竜組から……抜けるつもりで。
東屋と話をしていたんだけど……
主に、取り巻きから凹られちゃった……
当の東屋が止めてくれなかったら……
真面目にヤバかったかも……」
そうか。
天竜組の総長さんは、岸君をかばってくれたんだね。
東屋さんって、ヒト。
きっと、とても岸君の事好きなんだ。
自分から、離れて行こうとしている岸君を、守ろうとするほどに……
「……なんだ。
モテる男は、いいな。
やっぱりお前、愛莉さん止めて、東屋とくっつけば良いのに」
なんて、混ぜっ返した吉住さんの言葉に。
岸君は、かすかに睨んで、首を振った。
「東屋さんは、私に、色々誤解をしていたのよね……」