俺様先生と秘密の授業【完全版】
 
 そりゃあ、ね。

 教室に帰れ、と『先生』に言われれば帰るわよっ!

 ガッコに来たからには、勉強しなくちゃいけないし、もうすぐ一時間目が始まるから。

 だけど……

 退屈でワケわかんない授業聞いているより、本当は岸君についていたかった。

 この期に及んで、まだ。

 本当に岸君を『愛してる』のか判らなかったけれども。

 本当は、優し過ぎただけの岸君のことが嫌いじゃなかったし。

 何よりも『彼女』なら、心身傷ついている、岸君の側に居るのが、当然だと思った。

 だから。

 兄貴だったら絶対に倒れる、必殺の上目づかいで『直斗』に保健室に残っちゃダメ? って聞いたけど。

 直斗ったら『早瀬倉先生』の顔を一ミリも崩さず『ダメ』って言うんだもん。

 ぶう。

 ……仕方がないから、あたし。

 めちゃくちゃつまんない授業を聞きながら、ずーっと休み時間来るの、待ってた。

 ……のに。

 授業と授業の間にある休み時間は、吉住さんに邪魔されて、保健室には行けなかった。

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