俺様先生と秘密の授業【完全版】
 
 ん、で。昼休み。

 お弁当を持ってこっそり教室を出ようとすると……案の定。

 吉住さんが、近づいてきた。

 そして多分。

 一緒にお昼を食べよう、とでも言いかかける前に、あたしは伊井田さんに手を振った。

「お兄ちゃんが、一緒にご飯しようって!」

「本当!?」

 あたしが声をかけると、伊井田さんはきらっきらした笑顔で近づいてきた。

 伊井田さん、朝一番に吉住さんのコト、気に入った、って言ってたからなぁ。

 昼休みぐらいは、伊井田さんにお願いして良いよね?

 つれた、つれた、やったね、って心の中でガッツポーズをしてると。

 反対に吉住さんは、心なしか、青ざめる。

 あれ?

 吉住さん、伊井田さんのコト、苦手?

 ラッキ……じゃなくて。

 吉住さんはこそこそと、あたしにささやいた。

「何言ってんですか!
 俺、そんなコト、ちっとも言ってなんか……」

< 180 / 362 >

この作品をシェア

pagetop