俺様先生と秘密の授業【完全版】
「そう?」

 今一つ、良く判ってない伊井田さんに、吉住さんをぐいぐいと押しつけた。

「じゃあ、二人ともごゆっくり」

「愛莉さ~~んっ!」

「カッキーっ!」

 何だか、情けない感じの吉住さんの後から、嬉しそうな伊井田さんの声が追いかけた。

「気を使ってくれて、ありがとねっ!
 わたし、例え、カッキーが根暗でも、大好きよ~~!」

 ……微妙な言い方、だけど。

 それは、伊井田さんなりの友好の証みたいで、そんなにキライじゃない。

 吉住さんには、何かちょっと悪い気がしたけれど、あたしは二人に手を振って、保健室に降りて行った。


 ……すごく、心配な気持ちで。

 岸君。

 朝は、結構ひどい状態で保健室に入っていった。

 吉住さんには、岸君は家に帰ったかも、って言ったけど。

 あたし本当は絶対、保健室にいると思ってた。

 岸君を殴った人たちが、天竜組の縁続き、だとしたら。

 しかも、天竜組から抜けるつもりでいるのなら。

 岸君は、一体どこに帰るんだろう?

 今まで住んでいた叔父さんの家って、言うわけにもいかないだろうし……
 

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