俺様先生と秘密の授業【完全版】
 ぷんぷんに、腹を立てているあたしに。

 岸君は、心配をかけてごめんね、と謝り。

 直斗はクビをひっこめた。

「いや、ただ寝ているのもつまんないだろうと、単車関係の雑誌見せたら、つい、盛り上がって」

 アタマを掻き掻き笑う直斗は、既に、完全に早瀬倉センセじゃないじゃない!

 しかも。

「……なんか、話の流れで、バイク同好会でも作ろうか、なんてことになった。
 愛莉も入れ」

「は?」

 ……って本気で言ってる?

 思わず、間抜けな声を出したあたしに、岸君は微笑んだ。

「……って言うか。
 私は『鳥』がこの前みたいなトリッキーな走りじゃなく。
 真面目に走っている所を、一度見たかったのよ。
 近所の峠でも良いからツーリングするか。
 サーキット場を借りるかって話から、どうせなら同好会つくっちゃえって。
 顧問は、早瀬倉がやるとしても。
 会員は、四人いないと駄目だから、無理っぽいけどね」

 そう言えば。

 岸君が、田舎から出てきたのは、直斗と勝負したかったからって言ってたっけ。

 でも、普通。

 こんな状況で、そんな話になる?

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